間違いだらけのSWOT分析

論理的SWOT分析活用法

納得できる展開で戦略を立案しましょう
良い戦略を立案するためには,現状を正確に把握することはもちろんですが
それ以上に未来を予測することが戦略の決定に対して大きな影響を与えることになるのです.

はじめに

戦略立案するということは将来を予測そのものなのです.剣道や柔道のような武道やテニスや卓球のような対戦型スポーツにおける行動は戦略的な行動そのものだということは良く理解できると思います.一対一の対戦の場合は,相手の動きがこちらの動きに最大の影響を及ぼすことになるので,最大の関心事は相手の動きです.次の瞬間に相手がどのような行動を起こすのかということを予測できた方が勝利を手にすることができるわけです.従って,負けないためには,自分が今後どの様な行動をとるのかを相手に察知されてはならないのです.ですから会社の重要な戦略というものは極秘なのです.大規模なものでは,歴史上の国と国との戦争とか,小規模なものではスポーツでの団体競技などでは,自分自身が複数の人格で構成されていますし,相手方も複数の人格で構成されているということになるわけです.しかし,考えるための前提条件が複雑になっているだけで,基本的な戦略の考え方というものは同じ事です.
企業でいえば新製品開発計画や新事業開始計画は戦略そのものなのです.このとき開発中の製品の仕様や,発売時期などは競争相手に知られてはまずいのです.それらを知られることによって,競争相手からわずかに高いスペックの製品が,わずかに安い価格で,少しだけ早く発売されたりすると,大きなダメージを受けることになるわけです.新製品を開発しているような場合は,それに関わる先行投資として,ハードウエアーやソフトウエアーを含めて様々な費用がかかっているわけです.それらはすべて,開発された製品が販売された後の売り上げにより回収されるという計画になっているのです.したがって,発売時点では赤字でスタートして,売上高の累積が損益分岐点の売上高を超えた時点で先行投資分の赤字が解消されるとうわけです.競争相手が,類似の製品を先行して発売すれば,顧客を分け合うことになりますので,計画通りの売り上げが達成できる可能性は低くなります.その結果,売上高の累積が損益分岐点を超えることが出来ずに,赤字のまま製品の寿命を迎えてしまうと言う可能性が高くなるわけです.したがって確実に勝つためには,秘密を守る戦術をとる必要があります.
逆に,意図的に開示する戦術が必要な場合もあるのです.どういうことかというと,競争相手に対して,威嚇,牽制の意味をもたらすためです.孫子の兵法でも,もっとも高度な戦略が「戦わずして勝つ」ということです.相手に戦意を失わせるように宣伝してしまうということも有効な場合があります.新しい製品等で,高度な技術開発を要するような分野の場合において,核となる技術開発を完成させたときなどは,いちはやく製品販売前に新聞発表してしまうようなことがあります.これらは,新聞発表記事によって,競争相手が同種の製品の開発を断念させると言うことを期待している場合もあります.もう一つの目的としては,顧客を先行して囲い込んでしまいたいということもあります.ねらい通りにすすめば,同時に二つの目的が期待できるわけです.ただし,この方法は競争相手との間で技術力に関して圧倒的な差がある場合にのみ有効な手段です.そうでない場合は,逆に競争相手にファイトを湧かせてしまうと同時に製品仕様に対して,明確な目標を提示してしまうことにもなってしまいます.
経営者及び経営コンサルタントの存在意義というものは,戦略的な意志決定そのものといえます.現実に様々な場面で難しい意志決定を求められることが多いわけです.たとえば,新事業を開始するかどうか,新製品の開発を開始すべきかどうか,新工場の立ち上げをすべきかどうか,新しい営業拠点を新設すべきかどうかに関わること,他企業との合弁や業務提携をすべきかどうか,吸収・合併をすべきかどうかに関わることなど,重要な案件はすべて経営者に判断を委ねられます.投資金額が小さく,その投資効果も確実な案件に対する意志決定は比較的やさしいわけです.たとえば,作業改善程度の設備投資に関する意志決定というものは,比較的簡単に意志決定できるでしょう.しかし,もっと複雑で経営の行く末を左右する様な意志決定が経営者には求められることが多いのです.その様な場合の意志決定が戦略的な意志決定です.それらは非常に漠然とした状況の中で判断しなければならないことが多いと思います.また,様々なことを予測し想定して,判断を下さなければならないことが多いとおもいます.そのとき定量化できる判断基準がない場合もあるでしょう.また,複数の判断基準が並行して存在することもあでしょう.そのような意志決定の場面でしばしば用いられてきた手法がSWOT分析です.しかしながら,その使い方とタイミングに関しては,難しさがあります.通常SWOT分析を行ってその結果で事業領域(ドメイン)を設定するという手順を取ることが多いとおもいます.しかし,現実にその意志決定のプロセスを見ていますと,はなはだ論理の飛躍が発生していることが多いのです.戦略的な意志決定をしていると自覚している本人としてはSWOT分析を使って非常に明確で,論理的な意志決定をしているという自信は十分であるのですが,最終的に判断された意志決定の結果だけを知らされる側からすると,なかなか納得できないことが多いのです.
どうして納得できないかというと,内部経営資源や外部環境について十分に調べ尽くしているのか?視点の漏れはないのか?本当にそれは強みといえるのか?などの疑問が湧いてくるのです.
または,逆に直感的に思いついたところのあらかじめ進むべき方向を用意しておいて,そのこじつけのためにSWOT分析をとってつけたように形式的にやっていることも多いように見受けられます.またその一方で,SWOT分析を使うことそのものに否定的な意見も聞こえてきます.本当に使えない手法ならば,とっくに使われなくなっていると思われます.現在も使われていることを考えると,有効な手法なのでしょう.ただし,先ほど述べたように,納得性を向上させるために使い方に少し工夫が必要だとおもいます.一般的に手法と呼ばれるものは,ほとんどの場合,使い方におけるノウハウが必要とされるわけです.誤った使い方をすれば,誤った答えが導き出されるだけなのです.逆に,正しい使い方をすれば,実にスムーズに答えを導き出すことができるのです.それでは,どのようにSWOT分析を行えば使えるのかという疑問から,その使い方を検討してみました.
SWOT分析のマトリックスを客観的に見ると,外部要因としての機会と脅威,内的要因である強みと弱みの4つのマトリックスに分割されるわけです.外部要因と,内的要因に分けて把握する考え方そのものは,中国の兵法家孫子の考え方と何ら変わるところがないと思います.すなわち,「敵を知り己を知れば,百戦危うからず.」ということです.企業経営に当てはめてみれば,敵を知ると言うことは,顧客を含めた外部経営環境に他ならないでしょう,敵が,どんな状況にあるのか?敵の特徴,特性はどの様なものなのかをなるべく具体的に知る必要があります.戦って勝てる相手なのか?勝ち目はあるのか?戦う以外に執りうる手段はないのか?等を検討しなければならないとおもいます.一方の己といては社内の経営資源ということになります.敵に対して,己のもっとも得意とする武器で戦うことが勝利への最短コースでしょう.ただし,その前に企業が存続することが大切です.勝利する前に己の企業が存続できなくなれば,勝利そのものが無くなるわけです.したがって存続のための政策が緊急の戦略として必要となるわけです.特に経済成長が低成長の時代には,生き残るための戦略の重要度が非常に高くなると思います.しかし,防御のみでは縮小し続けてしまうわけです.防御の戦略を立案した場合は,それは短期の戦略を中心としたもので,同時に攻撃としての中・長期戦略を立案することが重要だと思います.成長戦略を執ることによってのみ長期的な存続が可能なのです.だから経営基盤のしっかりした企業は長期戦略を中心に立案していれば良いですが,そうでない場合は,存続のための短期戦略と成長のための中・長期戦略の両方が必要となるでしょう.短期の経営戦略は重点的に進めながら,中・長期戦略に対する戦術に関しても,並行して着実に着手しておかなければならないのです.

SWOT分析をしようとすると,多くの場合では,まず内部経営資源に関して,または外部環境に関して,メンバーから自由に様々なキーワードを言わせて,強み,弱み,機会,または脅威の4つの象限にレイアウトしていくという手順をとっているのではないでしょうか?内部経営資源分析に関しては,比較的異論が少なく容易に区分できるのではないでしょうか?挙げられたそれぞれの経営資源に対して,世間一般の企業または現在所属している業界の平均的な企業,あるいは競合関係にある競争相手の企業と比較して優れているかどうか比較することで,おおよその分類はできるだろうと思います.しかしながら,これから新しい事業に乗り出そうというような場合には,その分野で競合が予測される企業との比較と評価が必要になります.これから乗り出そうとする事業分野で先行している企業があれば,その企業をよく調査して,その経営資源についてベンチマークしながら強みと弱みに分類することが必要になります.しかし,現実の場面では主観的に分類してしまっているのではないでしょうか?すなわち,現在所属している業界に今後も所属するという暗黙の前提条件をおいて経営資源の比較評価を行っているのではないでしょうか?このような評価は,今後も現在と同じ業界で事業を進めるという戦略が決定され有効となります.経営資源に関して,即座に強みと弱みに分類するということは,すでにある一定の戦略を決めつけてしまっているということになるのではないでしょうか?
外部環境に関しても機会と脅威に分類することは,その時点ですでにある一定の決めつけをしていることにもなっています.現実には,グループ討論で判断している時には,明確な判断基準など存在せずに,その場の雰囲気によって傾向として決定されることが多いのではないでしょうか?
本来,外部環境に関しては,会社の進むべき方向を決定してから,その方向に進んだ場合の機会と脅威がはっきりするものだと思われます.筆者が何度も立ち会った経営戦略を立案するための検討会では,次のようなことが毎回起こりました.機会と脅威の区分けの議論では,幾度と無くどちらにも属さないカードを指して機会なのか,脅威なのかについて迷うことが少なくありませんでした.最終的には強引にどちらかのエリアに放りこんだり,同じカードを2枚作って両方のエリアに置くこともありました.そんなときはどちらかが誤っている可能性が高いのです.なぜなら,進むべき方向が決定されれば,チャンスとなる要素は脅威となりえないからなのです.この模式図は,企業の経営戦略と環境要因の関係をイメージして表現してあります.左下に位置する企業が進むべき方向として右上の方向を設定すると,いろいろな外部要因が行く手に待ち受けているわけです.
ほかに機会と脅威として確定できないケースとしては,自社が確保できるかどうか確定していない場合もある.将来を予測した場合に重要成功要因(KFS)となるような要素に関して発生する場合がある.ある要因に対して,自社が確保できない場合に,他社に取り込まれてしまえば,非常に大きな危険をもたらす.その様な場合は,自社の経営資源と他社の経営資源を比較検討した上で,最終的にどちらの側に取り込まれる確率が高いかを検討して判定するのである.この場合,最大の効果をもたらすチャンスに関しては確実につかみ取るような対策を講じておく必要がある.それと並行して重要成功要因が競争相手の手中に入ったときのような最大の脅威に関しては最悪のシナリオを回避する戦略が必要である.それらは,どちらかを選択するのではなく,両方が必要とされるのである.もちろん存続のための戦略はもっとも重要であることは間違いないのであるが,自由競争のビジネスの世界では必ず競合相手があるのである.競合は,敵が重傷を負っている時に手加減をしてくれることは無いのである.自らの損害を最小にすることを考えるとき,敵が弱っているチャンスがあればそのチャンスを逃さず,必ず自己の利益が最大になるように行動するはずである.
逆に脅威となる要素はチャンスにはなり得ない.方向が決まっていないから,チャンスにも取れるし,脅威にもなってしまうのである.もっともこれは,時間帯を瞬間に止めた時点での判断といえる.すなわち,時間が経過することによって,今までチャンスであっても,それを何もせずに見過ごしていれば,自社がコントロールできるはずのカードが,競合相手のものになってしまい,いつの間にか脅威に移行してしまうことがある.したがって,区分するには,方向性が決定してからで,判断の時期を明示しておく必要が有ると言うことである.さらに言えば,外部環境と内部環境については半年ごとか四半期ごとに評価し直すことが必要である.
外部環境の機会と脅威が決定されていなくても,また戦略立案は,外部環境と内部経営資源の組み合わせ評価結果により決定されることにかわりはない.外部環境と内部資源を組み合わせて最良の戦略を選択するまでの思考プロセスの展開過程に関して整理してみた.これまでは論理の展開に飛躍があったプロセスについては,相互に行き来するプロセスが必要となる.プレゼンテーションの場面でもこの経緯を織り込みながら説明を加える方が理解されやすいだろう.この論理の展開部分には,エンジニアリング分野で活用されている品質機能展開の考え方を取り入れてみた.外部環境と内部資源を組み合わせてみて戦略的方向性を仮に決定してみて,その方向性を基にもう一度外部環境を評価してみる.そしてまた戦略的方向性を見直してみるというようなサイクルが必要である.戦略的方向性と外部環境の評価が相互に関連し合っているので,循環参照に似た関連性を持っている.むしろ,調整をするたびに戦略そのものの確度が向上するので,逐次近似の方が的確であろう.これまで,論理的なプロセスが示されていなかったのは,SWOT分析から事業領域の設定までである.戦略的な事業領域を設定された後からは具体論への方針展開であるので比較的方針の展開は比較的やりやすい.戦略そのものが設定されてしまえば戦術レベルの方策という物はそれほど多くの選択肢がないので戦略を目的と見なして環境と照らし合わせて手段を展開していけばいいのである.それらは総論に対する各論という関係と等価なるので,戦略すなわち全社戦略に対して,展開された戦術に矛盾が無いかを確認しておけば良い訳である.矛盾が発生していれば,修正するか取り下げればいいわけで,判断基準がはっきりとしているわけである.したがって,もっとも神経を集中させて決定しなければならないのは,この判断基準に相当する全社戦略なのである.その結果としてもたらされる結論が製品開発提案,ビジネスプラン,ベンチャー企業の事業計画書などの表現に使われるのである.

1.全体的な流れ

もう少し細かく流れを説明すると,次に示す3つのプロセスを踏んで戦略に至るのである.A:過去から現在までを振り返るステージ,B:現在から未来を予測するステージ,C:要素を組み合わせて戦略を設定するステージである.すなわち合計2回の外部環境分析と内部資源分析を実施するのである.それぞれの段階は独立に行うのではなく,第1段階の検討結果を踏まえてから第2段階にすすむという過程を踏む.
第1段階では,あくまでも過去から現在までの事実をもとに分析を行う.その結果として現在の事業領域を定義し,現在おこなっているビジネスメソッドを明確にしておく必要がある.それをふまえて,分析の第2段階に入るのである.

第2段階では,第1段階でリストアップされた外部要因に対して,現在から将来に向けてどの様に推移するのかを推定するのである.未来の予測は非常に難しいのであるが,戦略は将来を予測して立案しなければ意味がない.そこで,第1段階でリストアップした項目に関して過去から現在までの推移を検討して未来を予測するのである.今まで事業の前提となるようなで,今後とも過去からの流れがその延長として推移するのか?それとも別の流れが現れるような兆候が出ているのかを調査検討するのである.内部要因に関しては,第1段階の検討結果の中で,経営資源に関して評価されたものを,強みと弱みに分類整理し,それらに潜在能力をくわえておくのである.これらを外部要因の変化項目をマトリックスに組み合わせて,分析を行う.強み,弱み,に加えて潜在能力の項目に関しても,ポイント付けを行って,突出した強みと,僅かな強みなどの序列をつけておくのである.一方外部要因に関しても,変化の大きさを予測して度合いに関する評価をしておくのである.双方の項目をマトリックスに組んで,双方の重み付けの合計値を比較しながら,どの組み合せが最も有効で効果的かを検討しながら選択してみるのである.これらの選択肢を眺めながら,経営理念と矛盾しないように事業領域を試行的に設定していくのである.長期的な経営戦略としては,現在持っている経営資源を有効に活用して事業展開していくことになるだろう.したがって,特に外部環境変化に対して,内部経営資源の強みを組み合わせて戦略候補を設定してみる.その選択肢の内で,効果的な組み合わせを選択するのである.短期の戦略は逆に外部環境変化に対して,経営資源の弱みの組み合わせを検討してみて,存続の危機となる様な組み合わせを見つけだすのである.存続のために危機を回避するための施策を講じる.このように最適と最悪の組み合わせをすることで戦略的な方向性が明らかになってくるのである.しかしながら,まだこの段階では抽象的なことしか定義できていない.もう少し具体的に定義するためには,戦略的な事業領域の設定に入ると良い.
事業領域の表現方法は第1段階の事業領域の表現方法と同じようにする.マーケティングの必須の要素である4P(プロダクト,プレース,プライス,プロモーション)に関しては定義しておくことが好ましい.また,サプライチェーン,金流,商流などのビジネスメソッドに関しては,出来るだけ具体的な表現にしておくことが好ましい.
将来の事業領域が設定されれば,その事業領域で事業を展開するための企業の体制が明確になってくる.当然のことながら,新たに競合として意識しなければならない企業も出現することになる.この様に,具体的な企業像,事業の方式,対象顧客等を決定すると,今度は,不足する経営資源が明らかになってくるはずである.具体的な企業像と,現在の経営資源に対する評価,強みと弱みとを比較検討すると,不足している経営資源と更に強化しなければならない経営資源が,明確になるのである.この経営資源に対する強化策を目標値と手順,方策を決定するところが経営計画に相当するのである.ここまでの一連の作業が戦略的意志決定である.
戦略的意志決定で決定されるのは戦略と戦術に関することである.戦術は戦略が決定された後の手段に相当するので,上位戦略に対する下位戦略ともいえる.最も重要なことは,上位戦略の決定であり,上位戦略は短い期間で修正すべきものではない.もっとも予期せぬ障害が発生した場合はこの限りにはない.環境変化が予想外の方向に進み始めたら,即時に経営戦略及び戦術を見直して,修正を加える必要がある.これは結果的には,未来に対する予測が浅かったということの証明になると思われる.
長期的な経営戦略は企業の持つ強みの部分と環境変化のチャンスを組み合わせることであるが,現実問題としてはそれ以前に企業の存続問題がある.長期のビジョンを持っていたとしても,経営が成り立っていかなければ,長期のビジョンも達成できない事になってしまうのである.すなわち,長期戦略につながる物として,短期の戦略が必要になる.長期的には敵を攻略するにしても,短期的には敵と和解しながら内部での資金を蓄積していったり,ノウハウを吸収しながら体力を高めていく方法などがとられる.遠交近攻策等もその事例であろう.この様に長期の戦略とは別に短期の戦略が必要となり,それらは矛盾することが少なくない.

2. SWOT分析の第一段階

それでは,具体的に段階を経ながら詳細な内容について説明を加えていくことにする.SWOTの第一段階では,現状を正確に把握する段階である.まずはじめに捉えるべきは,社会システムのなかでの企業のポジショニングである.すなわち,企業を取り巻く社会的システムについても概観的に捉える視点を持ち,そのシステムの中で企業が果たしている役割を客観的に捉える必要がある.企業の現在のポジションは一朝一夕に得られたものではないので,企業の成長過程に関しても出来るだけ把握しておく必要がある.注意しておかなければならないのは,あくまでも第一段階で把握するのは,現状までの事実を把握することである.現状をより正確に把握するために,企業の沿革に関して理解するのである.また,その伏線として,企業の経営目的,経営理念に関しても理解しなければならないのである.その上で,企業を取り巻く外部環境と企業のもつ経営資源に関する分析が必要となる.それらは,全く独立に調査出来るわけではなく,同時並行的に調査しながら把握していかなければならない.



2.1企業沿革および経営理念の把握

経営理念は,創業社長で有れば創業当時から明確になっているものであり,容易にヒヤリングで聞き出すことができる.他方,創業当時はがむしゃらに事業を推進してきて,いつの間にか現在に至ってしまったという様な場合もあるだろう.しかしながら,聞き出した結果は抽象的な物である可能性が高い.その様な場合は,客観的に構造化することによって経営理念が目指している方向性や,その抽象的なトレンドと現在行っている事業との関連性をより深く理解する事が出来るのである.定款を調べてみるという手段もあるが,定款上に記述された目的は,それを具体的に表現した結果であるため,あまり参考にはできない.他方抽象的すぎる場合も多い.或る程度具体性がないと困ることも多い.現在の経営理念を戦略ビジョンとして,現在の事業内容を戦術として,目的手段展開をしていくことによって,これまでの事業展開の妥当性とこれから進めようとしている方向性に関しても検証することができる.

2.1.1企業理念(経営理念)

創業者社長で有れば創業時から持っていたポリシーやマインドに関して聞き取り調査で把握することができる.ヒヤリング時は自分の理解がより深まるように,社会への貢献姿勢や内容について,具体的な事例をぶつけながら把握していく.経営理念には創業者の創業当時の人生観や社会との関わりが繁栄されていることが多い.もちろん創業時には明文化されている物が無かったり,生業として開業したことがきっかけであることも多い.しかし,事業が順調に成長していって,従業員数が増加するに従って,企業の存在意義を明確にしておかなければ,従業員の統率がとれなくなってしまう.そのため企業規模が比較的多い会社は企業理念を明確にしていることが多い.企業理念の把握は,企業と社会の関わりの中で企業が社会に対してどの様な役割を果たそうとしているのかを明確に出来ればよい.最低限次のような観点で確認しておくと良い.

2.1.2経営方針

経営方針は,企業理念を受けて具体的な方針として方向性を示している指針である必要がある.長期の経営方針を立てておいて修正を加えていない会社もあれば,毎年経営方針を見直している会社もある.戦略の方向性が読みとれるようなものとなっていればよいが,そうでないときは,ヒヤリングによって聞き出す必要がある.
特に,年度方針は定量化できる必要がある.毎年見直して更新している年度の経営方針は,その年度内に到達すべき目標までを示すことになるので,これまでの推移を把握したうえで,将来も予測するのである.

2.1.3企業沿革

創業時から現在までの企業の歩みを把握しておく必要がある.過去から現在までの事業拡大の軌跡をとらえ,得意先の成長に伴って事業が拡大していった姿や,得意先の事業低迷の余波を受けて危機的な状況に陥った局面等を,新しい得意先への販売シフトにより乗り切った歴史などを把握する.その他の危機的な状況の到来やその回避方法についても把握しておく.ここでは,企業の本当の強みを認識するということを並行した目的として持っているが,他方で潜在能力を抽出させるためのヒントをつかむことも2次的な目的として含んでいる.これまでの事業展開の中ですでに撤退した分野や,拡大してきた足跡を認識することができる.かつて撤退した事業分野では,その人員が企業内に残留している場合も多く,当時のノウハウが潜在している場合がある.また,経営幹部の経歴もできるだけ調べておく.ここでは,以下のような視点で内容を把握しておくとよい.

2.2 外部環境の現状分析

ここでは,現在の事業と関わりのある環境の把握を中心に実施する.注意しなければならないのはハードにとらわれることすなわち商品にとらわれてはいけないと言うことである.外部環境に関する視点は更に細分化すると,第1に最終ユーザーの状況を把握しておく必要があるということである.最終ユーザーは,何を求めているのかを定義しておく必要がある.当社が関わっている業界が,提供している機能は何なのかを,最終顧客のニーズとして定義しておく.業界全体の把握に関しては,特徴的な商慣習,勢力分布状況等を把握しておくのである.法規制に守られた業界かどうかも調べておく必要がある.次に競合会社の事業内容等に関しても出来るだけ把握しておくことが好ましい.競合会社の経営戦略などに関しては,できるだけ詳細まで調べ上げることが好ましい.不可能な場合は,過去から現在までの推移,系列関係,特徴的な強みなどを整理しておくと良い.他に企業が立地する地域の経済状況から始まり,地方の経済状況,国内の経済状況,近隣諸国アジアの経済状況,地球規模での経済状況等,狭い範囲から広い範囲にかけての状況に関しても把握しておく必要がある.この段階ではまだ,将来を予測する必要はないのであるが,過去から現在までの経緯を調べることによって将来を予測するためのヒントになるので,なるべく現在までの動向をしらべておく.外部環境に関しては,第一段階では,機会と脅威には区分しないのである.また,近年のトレンドとなっているキーワードもなるべく項目としてあげておくと良い.

2.2.1顧客の現状

企業の経営活動によって生み出される製品は,価値連鎖の上を流れて最終顧客のもとに届けられる.製造業では送り出している製品のほとんどが価値連鎖の中流または上流に位置するのかもしれない.素材型産業の場合は最上流に位置するだろう.素材材料が加工されて,次第に最終ユーザーの要求に合うように加工されて,付加価値が高められていくのである.しかしながら,業績にもっとも影響を与えるのは最終顧客である.最終顧客が購買しなければ企業の製品は販売されないことになる.最下流の流れがストップしてしまえば,それより上流の流れは停滞してしまうのである.したがって最終顧客の動向が戦略決定のための重要な判断要素となる.すなわちここでは,最終顧客のプロフィールから,直接顧客のプロフィールまでを把握しておく必要がある.但し,製品の種類が多すぎる場合に関しては,主力製品で売上高で占める割合の大きな製品を取り上げて把握することでもよいだろう.
次に,流通に関わる企業について取り上げる.自社ブランドを持っていなかったり,固有の加工技術が少ない製造業の場合や,特定の流通企業への依存度が高い企業は,企業の存続に与える流通企業の影響が大きい.この様な場合は,流通企業の動向についてなるべく詳しく調査しておく必要がある.
・最終顧客の数
・最終顧客のプロフィール
・最終顧客までの流通の段階
・直接販売先の数
・直接販売先のプロフィール

2.2.2業界の歴史と現状

主として企業経営者に対する聞き取りにより調査はできるが,業界紙や業界組合に対する調査で補完すると良い.そうすることでより客観的な把握が可能となる.所属している業界の特性を把握しておく必要がある.現在の事業が属している業界ということで,戦略立案上重要な環境要因となる.成長戦略や競争戦略のどちらを選んでも,必ず把握しておかなければならない要因である.近年は多角化により複数の業界に関連する製品を製造している場合も少なくないので,分析も複雑になる.本来であれば,関連する業界全体について歴史と現状を分析しておくことが好ましい.単一の業界にしか関連が無い場合は,川下の業界があるかを調べる.川下の業界があれば,主要得意先についても調査しておく.
・業界全体の姿,全容
・業界全体の勢力分布図
・競合の程度はどの程度か?
・敵対している企業集団と親密な企業集団があるか?
・企業数,企業の規模の分布
・業界に属している企業共通の特性(立地,資本,業歴)
・業界団体,組織率,アウトサイダーの特徴
・企業間の関係
・サプライチェーンの深さ

2.2.3競合会社との競合関係の歴史と現状

市場を独占していることはあり得ないので,必ず競合関係を持つ企業が存在する.競合のことを知ることは,戦略立案上非常に重要なことである.古くからライバルとして競争してきた企業があるとすれば,当社が進もうとする方向に動き出した途端に,全勢力を投入して計画を阻止する様な行動をとる確率が高い.ビジネスとしての競争より,感情的な恨みやプライドの張り合いによる場合も有るからである.営業上競合している企業がどの様な特性を持っているのかを知ることがまず重要である.さらに,競合会社が今後どの様な戦略を採ろうとしているのかを予測できれば最良なのであるが,戦略はどの企業でも秘密にしているので難しい.
・同業者,同規模,同一製品の競争相手
・同一市場で競争発生の状況
・隣接市場で一部競合している相手
・力関係,勝ち負けの推移

2.2.4異業種からの参入の経緯

自らが異業種から参入したという場合も多いが構成企業が増加しているのか?減少しているのか?参入,撤退が頻繁に行われているのか?それともほとんど新規参入が無く,長期間にわたり同一構成メンバーであるのかを把握しておく.また近い将来異業種からの参入が見込まれるので有れば,それも把握しておく必要な有る.
・過去の歴史,参入の歴史
・流出,撤退の歴史

2.2.5法規制環境の内容

企業が,事業を遂行する上で重要な法律や規制が有れば把握しておく.近い将来規制が緩和されたり強化されるような動きが有れば,把握しておく.医療業界,食品業界,自動車業界,家電業界など,それぞれの業界で,固有に事業遂行上欠かすことのできない法律にどんなものがあるのか?これを知ることで他業界からの参入の障壁になるのかどうかがわかる.
・罰則 過去から現在までの改訂の状況
・法規制

2.2.6 社会の世相

世相に関しては概観的に触れる様にする.なるべく商圏を考えて必要で有れば国内にとどまらず近隣諸国や地球規模での視点で考える必要もある.とくに,企業理念に関わる社会世相に関しては漏れないように把握する.
商圏が狭く一定の地域だけで営業しているとする場合で,地域ごとに世相の差異が有ればそれらを区別して把握する.

2.2.7 マクロ経済の状況

直接取引のある得意先だけでなく,取り巻く環境状況に関しての把握がひつようである.小売業や流通業であれば,ほとんど国内の市場で取り引きしている比率が高いだろう.製造業に関しても輸出の比率が50%を超える企業は少ないであろう.しかしながら,国内経済も他国とのバランスによって成り立っているので,このバランスに関して把握しておく必要がある.
・国内の経済情勢,アジア及び近隣諸国の経済情勢,国際的な地球規模での経済情勢
・為替推移
・貿易収支
・国家間の関係(政治的,外交的,宗教的,風土的関係)


2.3 内部経営資源の現状分析

社内の経営資源の評価に関しては,基本的な経営機能に関して評価しておく.財務,労務,販売,生産,資材購買,品質等の管理レベルに関する評価と,固有技術,知的財産,ノウハウ等の評価も必要となる.これらに対してレベル評価が必要となる.明確なライバル企業または,社長が目標とする企業が有れば,それらの企業に対する優劣で,強みと弱みに区分して整理することが出来る.ライバル企業が存在しない場合などは,業界の平均的なレベルや中堅企業のレベルを中心にして評価する.いずれにしても,社内の経営資源に関しては,強みと弱みという観点から区分して整理する.

2.3.1製品・商品力

個別製品の製品力の切り分けは比較的難しいかもしれない.製品同士が相互に関係し有ってシナジー効果をもたらすこともあるし,企業イメージのブランド力が製品のイメージになっている場合もある.なるべく製品を個別に評価した場合の品質,価格,納期およびアフターサービスに対してどの項目が優れているのかを評価する.製品のシェアーなども客観的な評価になるかもしれない.競争相手が明確になっていれば,そこに対してのアイテム数,機能性,市場カバレッジの比較をすることで特徴が明確になってくると思われる.中堅以上の企業の場合は,部門別に特性に差が現れる可能性がある.その様な場合は部門別に特性を把握した上で,最終的には全体としての把握をする.

2.3.2組織力(管理職のマネージメント力,従業員活力)

人的資源の相乗効果が組織力である.個人の能力が有る程度のポテンシャルを持っているということが必要であるが,その総和以上の能力が発揮されていることが好ましい.そのためには個人の意識が高いということに加えて,管理職の意識とマネージメント力が高いということが必要である.個人のレベルではバックアップ体制やフォロー体制が整っているかなどが重要な要素となる.また,風土的にも自由闊達な組織風土なのか?まとまってはいるが排他的な風土なのかなどを把握しておく必要がある.
・管理職の知識,能力モチベーション
・従業員の知識,能力モチベーション
・組織形態 組織風土
・モラール
・労務管理システム(人事考課)

2.3.3信用・歴史(ブランド力)

企業の潜在能力として,現在の企業が市場から受けている評価・存在価値を把握しておく必要がある.特に特徴的な商品がその企業のイメージとして有るとすれば,類似の商品に対してはシナジー効果として働くが,まったく異業種の分野に進出しようとした場合には,マイナスイメージとして働いてしまう場合があるからである.必要に応じて得意先に出向いて,企業イメージをヒヤリングして裏付けをする必要もある.なるべくであれば,第3者からの客観的な評価があると良いだろう.
・企業ブランドイメージ
・外部から見た企業のイメージ

2.3.4営業力

販売する機能が,どれほどのポテンシャルを持っているかを把握する必要がある.当然のこととして,現行の製品を中心とした販売機能に関して把握しておく.自社の営業組織がもっとも主体的に機能させることが出来るのであるが,販売代理店や,商社等を活用している場合は,その網に関しても把握しておく必要がある.質的なポテンシャルと量的なポテンシャルと両方の側面に関して把握しておく必要がある.
・販売チャネル,種類 チャネルの容量
・自社の営業マン 拠点 テリトリー
・販売代理店展開 数 エリア

2.3.5経営力

経営トップ及びヘッドクォーターに関する評価は非常に,重要である.以下に示してある経営陣の4つの機能に関して,どの程度のレベルを有しているのかを評価しておく.カリスマ的創業社長の場合は,一人で全ての機能を果たしていることも多いが,多くの場合2人以上のパートナーとの連携で相互補完していることが多い.従って,その様な場合は複数の経営陣にヒヤリングして評価する.
・ビジョン構築力(夢を描き構想する能力)
・事業計画立案力(夢を具体的な手段に展開する能力)
・実行力(即断即決で実行に移していく姿勢)
・調整力(葛藤を調整して目標に近づける能力)

2.3.6グループ力(系列力,シナジー効果)

企業単独では,市場に対する影響力を持っていなかったとしても,系列やグループを持ち,全体的に大きな影響力を持っている場合もある.他方,多角化展開を計った場合,系列企業間で相互にメリットを享受できるような取引が実現する可能性もある.
・グループ及び系列の全体の姿と当社の位置づけ
・連携が可能なグループ及び系列
・友好関係を保っているグループ

2.3.7財務力(資本力・資金調達能力)

経営の安定性及び新たな事業展開をスタートさせるポテンシャルがあるかどうかを評価する.この尺度が財務体質の評価である.一義的には自己資本の充実度合いで評価されるが,代表取締役の信用度による資金調達能力や個人的な資産についても重要な評価尺度である.但し,個人資産に関してはプライバシーに関わるので,取り上げるには注意が必要である.
・自己資本(内部留保)
・資産状況
・小規模の場合は社長の個人資産

2.3.8固有技術力

企業競争力の根元となっている要素の一つが,この固有技術力である.企業の発展段階の初期には,特に固有技術力が重要なポジションを占める.特許等で顕在化している場合は,それを固有技術力として評価しても良いが,現実的には顕在化していない場合の方が多い.製造会社の場合は,設備等に着目してみると良い.汎用的な生産設備をそのまま使っている場合は,汎用的な技術しかもっていないということである.一歩進むと,設備を部分的に改造・改良して使いやすくしている場合である.この場合は,他社を上回る高精度や,低価格を実現している場合が多い.
さらに固有技術力が高まると,生産設備そのものを自社で設計するレベルに達する事がある.この様なレベルに達すると,この企業でしか生産できない商品を持つことが出来て,絶対的な競争力を持つことが出来る.
他に,技能面での固有技術を有している場合も有るが,この場合は人が保有しているということになる.技能保有者が経営者自身で有ればよいが,そうでない場合は,技能保有者が退職してしまったり,競合に引き抜かれてしまったりすれば固有技術を無くしてしまう.
・基礎技術,設計技術,保有特許
・生産設備の自社開発力
・技能
・治具の自社設計→生産設備の部分改造→生産設備の自社開発

2.3.9管理技術力

基礎としての技術的競争力は固有技術にあるが,取引先からの信頼を得ようとすると,管理技術が重要となってくる.生産管理,品質管理,調達管理等,最終的な得意先の要望に合わせてQCDを達成する仕組みが必要となる.そのための従業員の知識レベルや教育システムから始まり,管理のルール,管理のための組織について把握すると同時に運用の実態について把握する必要がある.
・生産管理
・品質管理
・資材管理

2.3.10研究開発力

新たな技術,新たな商品を生み出していくシステムについても把握しておく必要がある.特に自社独自の製品を有する企業ならば,競争力の維持のためにこの機能が必要である.中堅以上の会社で有れば,組織として研究部,開発部として明確になっているであろう.そうでない場合は,技術担当の役員や社長自らが研究開発機能を担っている場合も多い.むしろ独立した組織で活動しているよりも,個人の業務の合間で活動している方が,日常の経費がかからず,市場ニーズなども業務の中から生ずるニーズがヒントになったりして,都合の良いことが多い.
・研究開発組織
・人材
・これまでの成果

2.4現在の事業領域の把握

事業部が有れば,事業部毎に区分して検討し,最後にはそれを統合して全社的な関連性を把握する.それぞれの事業領域に対して,マーケティングの4P(プロダクト,プライス,プレース,プロモーション)の視点で記述すると明確に定義できる.それぞれの事業領域に僅かな重複があり,事業領域同士がシナジー効果をもって,相互に影響を及ぼし合っていることが好ましい.

2.4.1サプライチェーン上での位置づけ


供給の流れを,時系列の線として表現する.
自社が,サプライチェーンの内のどのポジションを占めているのかを把握する.複数の機能を占めているとすれば,自らがコントロールできる自由裁量の比率が高いと言うことになる.

2.4.2ビジネスメソッドとしての把握

自社の営業システム(事業システム)の特徴を把握しておく.このシステムを記述することによって本当に顧客に提供している機能を明確にする.ファブレスの企業か?設計力などの社会に果たしている機能が明確になる.
デルモデルの場合(サプライチェーン・マネージメントに関する技術動向調査,特許庁技術調査課 2001.5.31)



2.4.3プロダクトポートフォリオ分析

中小企業では市場の成長率や,マーケットシェアーに関してはデータ取りが難しい.一般化して行うと,中央値をいくつに設定するかが決められないことが多い.特に下請け色が強い場合は,縦軸を得意先の売上成長率,横軸を外注費に占めるインストアーシェアーにする事が良い.近年は特に成長せずに縮小している場合が多いので各エリアに分散していないことが多い.また,得意先の成長率が高いとしても,得意先の外注先管理担当者の判断により,インストアーシェアーが変更されたり,得意先の海外への工場移転などで劇的に変化することもあり,下請け色のつよい企業の場合はあまり意味がない.
一方最終製品を有している場合は重要度が高い.この分析の目的は,成長分野に製品を投入し続けるシステムが有るかどうかを見極める点にある.中小企業の場合初めからニッチな市場を目標としていることも多いので,必ずしも市場シェアーを大きくすることが得策でない場合もある.他方,市場の捉え方も広義で捉えるのか?それともニッチのままで捉えるのか?によっても製品のポジションのプロット位置が大きく変わる.他に,横軸はlogスケールでプロットしてみたり,売上構成比にしてみたりといった工夫も必要になる.縦軸に関しても,将来性をみんなで投票したりして決めても良い.


2.4.4市場マトリックス(顧客プロフィールとカバレッジ)


企業イメージ及び商品イメージが,高級品ブランドというイメージなのか?低価格品で量販を狙って一般的ユーザーに受け入れられているのかを把握する.企業イメージ・商品イメージを崩すような製品戦略では,製品相互のシナジー効果を発揮できないだけでなく,過去から築いてきたイメージを一瞬のうちに失ってしまうこともある.

3.SWOTの第2段階

これまでは現状の外部環境の状況及び過去から現在に至るまでの環境変化を中心に捉えてきた.第1段階をふまえて,これからどの様に推移するかを予測することが神髄である.この予測された将来の環境変化を内部の経営資源と組み合わせて評価する.外部環境の変化は,その変化の度合いに応じて重みがつけられる.社内の経営資源に関しても,強みのレベルと弱みのレベル対して重みを検討する.この時,外部環境と組み合わせる前に潜在的な経営資源に関しても評価してみる.双方を組み合わせて,重み同士の積を算出する.正側の数値の大きいものと,負側の数値の大きいものが,戦略立案上の重要検討項目となる.
強みとも弱みともいえない項目に関しては,中間的な分類を用意しておく.また,中間的な項目で事業遂行上必要な項目や当たり前に必要とされる項目については,重要機能として評価しておく.


3.1外部環境変化の予測

戦略を立案する場合,重要なことは,今後の環境変化に対する予測である.過去から現在までの変化に対しては,過去の事実であるので,過去を研究すれば,誰が研究しても同じ結論を導き出すことが出来るのである.しかしながら経営戦略は,外部環境が今後どの様に変化するのかを推定して,環境の変化に合わせて方針を決めていったり,投資をしていかなければならない.特に大きな組織となれば,人間の集団であるから,風土や意識を変えて行くには長い時間を要する.なるべく早い時期に未来を予測して,未来に向けての準備を直ちに開始する必要がある.
これらのことからも,今後の外部環境の変化を予測することが非常に重要であることが理解できるであろう.環境の変化に関する視点は,2.2節で述べた項目に関してである.そのシートを再度テーブルにあげて加筆修正する事で時間の節約が出来る.
また,予測した環境がある時期を境に変化することも多い.追い風と予測していても,向かい風に変わることもある.その様なときに,目標は変更せずに,進むべきルートを変更して推進するのは,経営計画の立案方法で言うコンティジェンシープランである.戦略用語としての表現を用いれば戦術を選択し直すということになる.他方,ルートを変更しないで進む場合は,企業の持つ経営資源を組み替えながら企業の構造を環境に即した構造に変革していく必要がある.これをリストラクチャリングと呼んでいる.
あくまで未来を予測した上での戦略・戦術の選択なので,予測した前提条件が時間を経るに従って,事実として確定されて行くが,マクロ的には予測したとおりに推移したとしても,競争相手も特徴が変化してくるし,自社も特徴が変化してくるので相対的には経営環境は必然的に変化する.だからといって予測が出来ないから環境変化を予測せずに戦略を立案して良いことにはならない.必ず,環境がどの様に変化するのかの仮説を立てて,戦略を立案する必要がある.但し,環境変化の予測は戦略立案の前提条件になっているので,重要な機会として捉えている環境項目に関してはモニタリングしておく必要がある.その項目が予想外の展開に推移し始めたら,すぐさまその対応策をとらねばならない.
経営は環境変化への対応そのものである.但し変化は目に見えない,統計資料などで変化が見えたときには,すでに変化は終了している場合が多い.したがって,いろいろな目に見える変化から,目に見えない変化を類推して,目に見えない変化を自分の足で集めて,仮説に対する裏付けをするのである.


3.2使える経営資源の洗い出し

戦略立案するときの経営資源は,顕在化している経営資源に関しては認識しやすいが,潜在的なものも取り上げることができれば,更に効果的な戦略が立案できる.特にベンチャービジネスなどは,その良い例であろう.社内で活かしきれない能力をスピンアウトして事業化するなどはそのものである.
潜在的なポテンシャルを見いだすには次の様な視点で検討するとよいだろう.
@過去には主流であったが,現在は亜流になってしまって認識されていない技術や設備や販路は無いか?
Aすでに撤退してしまった事業分野で,担当者やノウハウ,設備等が社内に残っているものは無いか?
B社員の会社外での活動で著明な活動をしている者はいないか?
C中途採用したり,パート採用した従業員で前歴で活用できるノウハウが無いか?
D経営者の現事業以外に展開できるノウハウは無いか?
このような検討を重ねて,潜在化している経営資源をなるべく多く抽出しておくと良い.しかし,戦略すなわち方向性が明確になると,潜在的な経営資源も明確になることが多い.したがって,この段階では特筆すべき潜在能力に関して抽出する事を主眼として,戦略立案時点で再度潜在能力を検討しながらキャッチボールしてゆくと良い.



3.3組合せ評価


外部環境の変化の著しさや,現在の事業に与えるインパクトによって重み付けをする.
外部経営環境の変化項目
大項目顧客業界競合参入法律
規制世相経済産業
構造
中項目
重み
経営資源強み1
強み2
強み3
弱み1
弱み2
弱み3
潜在資源1
潜在資源2
経営資源に関しては,強さで重み付けをする.
重み付けの評価をする場合は,絶対評価によってポイント付けをすることが好ましいが,現実にはそれを実行するのは難しい.簡便法としては,項目を比較検討して順序をつけて並べ替え,その順位に応じて降順に数値を割り当てることで重み付けが出来たということになる.外部環境に関する重み付けは全て正の数で重み付けをする.経営資源に関しては,平均的な資源をゼロとして,正の数と負の数に振り分けて重み付けをする.
最終的な評価は,縦軸と横軸のそれぞれに重み付けの積を求め,正側の高い数値に関して,攻撃の戦略の中心テーマとなる.負側の絶対値の大きな数値に関しては防御の戦略テーマとなる.

戦略立案する場合の軸を設定してみると,次の様な戦略の種類に区分される.
1.成長戦略
2.競争優位の戦略(競合相手に勝利する)
3.生き残りの戦略(存続を賭けた戦略)

@期間的な区分による,短期戦略に対する長期戦略
A積極性のレベルによる攻撃,防御,撤退戦略
B適用範囲による区分としての全社戦略と個別事業戦略

戦略の全体像を描く視点は上記の3点
全体像を観察しながら組み替えつつ最適な戦略の組み合わせを選択する.
但し,言葉を確定するレベルまで討論すると,討論の内容が冗長になってしまうので,整理されていなくても,討論したメンバーが共通の認識が得られるような複数のキーワードと,そのキーワードに対する定義が出来ればよい.

4.SWOTの第3段階

第2段階で作成されたマトリックスに対して,グループ内で評価を実施して,どの項目を取り上げるかを比較検討する.そこで取り上げられた項目の範囲が今後の事業領域の範囲になるのである.事業領域は戦略的な方向性を示すことになる.戦略的な方向性に向かって進むルートが具体的な手段としての戦術になるのである.戦術を設定した後に,これを念頭に置きながら外部環境変化項目を評価してみると,機会を捉えられる項目と,脅威として捉えられる項目に区分されるのである.
同時に戦術を,社内の経営資源に照らし合わせてみると強化すべき経営資源が見えてくるのである.以下のプロセスでSWOT分析を活用した経営戦略の策定ができるわけである.




4.1将来に向けての全社戦略(目指す方向)の設定

前節で設定された全社戦略を明文化して定義する.言葉,用語の定義を明確にして,聞く人にとって誤解の内容に設定する必要がある.特に討論に加わったメンバーは討論のプロセスに参画しているので,最終的に絞り込まれたテーマと,捨てられたテーマが認識されているが,第3者に示すためには十分に吟味しなければならない.
必要に応じて,サブテーマなどを設定したりして方向性の絞り込みなどをすると良い.言葉の重複や内容の矛盾などにも注意して構成する必要があるが,短期戦略と長期戦略などのようにステージが異なる場合は,矛盾した戦略が採用されることも多い.短期的には撤退戦略をとり,中長期的には侵攻戦略をとっていくことに矛盾がないのと等価である.特に,緊張関係の強い競合会社がある場合などは,競合相手を欺くような戦略も必要になってくる.
上位戦略と下位戦略に関しても基本的には矛盾が無いように選択する必要がある.しかし,やむを得ず矛盾を含めなければならない場合も有るので,本当にその様な選択がベストなのかを討論しておく必要がある.
戦略表現のチェックポイント
1.言葉の定義は明確か?(文節毎に区切って語句説明が出来るか?)
2.内容に重複や矛盾が無いか?
3.短期と長期でタイムスケジュールがあるか?
この時点で,3.2節で検討した潜在的経営資源に関して再評価して,相互に調整することも良い.
戦略策定の方法は主な方法でもいろいろなものがある.しかしそれらは考案したコンサルタントが独自のノウハウとしているので体系的に整理されたものはない.あえて分類してみると,もっとも上位に位置するものが全社戦略であり,その下位戦略として個別戦略がある.個別戦略は独立した戦略ではなく,相互に関連しながら戦略同士で上位下位を形成することもある.

4.2目標の設定と手段の検討

ここでは全社戦略を個別の戦術に展開して行くわけであるが,バリューチェーンで言うところの主活動に対する項目は必然的出てくるが,支援活動に対する項目は出にくいので,特の漏れないように注意する.

4.2.1目標の設定

戦略は方向性を示しているだけなので,具体的な手段を検討する前に目標(到達レベル)の設定が必要である.なぜならば,目標の高さ(現状とのギャップ)に応じて最良の手段が異なってくるからである.すなわち,目標は具体的数値等で示された水準と,納期が必要である.このどちらかが欠けていても目標にはなり得ない.
戦略の進度を評価するための管理特性の設定が必要となる.シェアー拡大戦略であれば,具体的なシェアー目標を設定すれば良いわけである.世界戦略であれば,1年後にカバーする商圏などを具体的に設定していけばよい.目標とするからには,必ずレベルと納期の要素が必須となる.

4.2.1手段の検討

戦略テーマから戦術を展開する場合は,目的手段展開を進めることになるが,手段について,自由な発想を待つと網羅された手段展開にならないことが多い.発想を促すためには,キーワードが必要となる場合が多い.このときのキーワードが展開の視点でもある.いくつかの視点をテーマとして発想を出させるようにすれば,比較的多くのアイデアを短時間のうちに抽出することができる.視点の例としては,バリューチェーンモデルの主活動に対する戦術を検討するのである.具体的には,購買物流,製造,出荷物流,販売,マーケティング,サービスの各活動に対して戦術を練る必要がある.各活動に漏れがないように検討を重ねる.この状況では矛盾する戦術が出てきても良い.一旦は発散させて戦術を出し尽くし,最終の段階で矛盾する戦術を整理して,最良の組み合わせを求めれば良いのである.ここで忘れてはいけないのは,支援活動に対する戦略である.全般管理,人事労務,技術開発,調達活動等に関する戦術をおのおので検討する.
まずは,全社戦略をテーマとして,そのテーマを実現するための具体的な手段をアイデア抽出法等で抽出して整理してみる.短期戦略と,中長期戦略で矛盾がある場合は,それぞれを区別して戦略の手段展開を行う.この場合,短期戦略の手段展開から処理していき,その後に中長期戦略に関する手段展開をする.短期の経営戦略を達成して,それを基盤として中長期の戦略に着手できるからである.なお,中長期の戦略の手段展開の中には,短期の活動項目も含まれてくるので,再度短期の手段の中に統合していく.
短期の戦略も中長期の経営戦略も,手段展開された物をまとめると,下位の経営戦略に相当するわけで,その実行は経営組織を通じて執行されるわけである.すなわち,全社戦略から展開された1次の下位戦略は,部門戦略に当てはまることが多い.個々の手段に関しても上位戦略に対する下位戦略という位置づけに相当する.戦略が目的で戦術が手段と言うこともいえるが,それは戦略と戦術の一つのユニットを取り出した場合においてのみである.企業戦略を体系的に整理してみると,全社戦略から部門戦略,機能戦略等に展開されるのである.最終的な戦術は,従業員個人の一挙手一投足なのである.そこに分解されるまでは戦略を戦術に展開するということを繰り返していくのである.
戦略から戦術に展開していく場合も,環境の変化や競争相手の変化に対して,刻々と対応していく必要がある.自己も他者も市場も静止することなく,刻々と変化しているのであるから,固定した戦術をとっていれば,相手からたやすく予測され,敗北を期することになってしまう.自分自身の変化,相手の変化,その他の環境の変化を予測して,今とっている戦術を継続すべきかどうかを検討し,意志決定するのである.はじめの戦術の選択についても,もっとも大切なのは,競争相手や外部環境の状態と予測なのである.予測無くして戦術の選択はできない.


4.3外部環境要因の評価(機会と脅威)

前節で決定された目標に向かって,前節で決定された手段を講じようとした場合,すでに検討された外部環境要因はチャンスとなるのか?それとも脅威となるのかを評価する.表裏一体となっている場合も有るので,ここで検討しながら再度戦術を検討し直すこともありうる.戦略は一つに確定されても,戦術は複数の選択肢があるのである.その戦術は経営環境の変化や,競合会社の変化に伴い,修正する必要が出てくる.従って,経営環境の変化を再度強化しているうちに,戦術の修正という作業が必要になる.従って外部環境要因を評価している途上で必ず戦術を修正し,再び環境要因を評価するというサイクルを回しながら確定に近づけていくことになる.たとえば他企業との業務提携などがうまくまとまる公算が強ければ機会となるが,決裂すれば脅威となる場合もある.自社の自助努力で機会にすることが出来るような項目に関しては,あらゆる手段を講じて機会となるように活動する必要がある.他方,脅威となってしまうことで有れば,なるべく脅威であるままで,当社に実害が出ないようにする.企業内の計画を秘密の内に進めることもこの対策にあたる.重要成功要因で,自社主導で制御出来そうな要因をチャンスとし,他社主導で制御されそうな要因が脅威となる.


4.4強化すべき経営資源の抽出

最終的に戦略が確定すると,自社の経営資源のうち強化するものがはっきりしてくる.必ずしも弱点を改善強化することにはならない.あくまでも戦略的ない方向性に向けて必要な経営資源を強化するわけである.場合によっては,すでに十分な強みになっている項目であっても,更に強化しなければならないことも発生する.弱みであって,強化することが不可能であっても戦略テーマを実現するために必要で有れば抽出しておく.どの様な手段で強化するかは,下位の戦略であり,下位の手段として検討を重ねるのである.
自社の経営資源を直接強化するという場合が多いが,技術的な場合は技術開発や製品開発によって,資源を強化することになる.技術開発についてはまた事業計画書の項目に従って,その詳細について検討する.



付録



発想法
 ブレインストーミング
 ブレインライティング

ワークシート集
・ブレインライティングシート
・経営者ヒヤリングシート
・外部環境調査シート
・内部分析シート
・事業領域把握シート
・戦略展開シート


ブレインストーミング
複雑な現象に対して仮説を立案したり,難解な現象の原因を推定したりするときには,ブレインストーミングを使って,漏らさず抽出するようにするとよい.成功するための条件は,力のあるスタッフメンバーで構成することと,各人が集中して頭脳を活性化状態にすることである.その上で次のルールを守ることである.
1.批判一切お断り
2.自由奔放
3.量を求む
4.組み合わせ・改善
司会者は,グループメンバーの注意がなるべく多方面に分散するように,議題となるようなキーワード(ここで言う着眼点)などの視点について触れるようにすると良い.この様にすれば,幅広い視点からの現状分析ができる.ブレインストーミングで出されたカードはまだ,無秩序の状態である.これを整理してカテゴリーに分けていく.整理する場合の視点は,固有の視点となることもある.単純なのはブレインストーミングの時に視点として使った項目に分類することもある.他方,連想によって抽出されたキーワードをながめて,同類のカードを集めて集合を形成するなどの方法で整理する.いずれにしても,ブレインストーミングで出されるカードは,重複も多く,言い表している範囲のレベルもまちまちであるから,かならずグルーピングして大項目,中項目,小項目等の階層に区分して整理しておくと良い.
準備する文房具として,模造紙,ポストイット(なるべく大きいサイズ)マジックインキ(人数分)

ブレインライティング
知名度は低いが,ブレインストーミング以上にアイデアの数が多く出せるのがこの方法である.西ドイツの経営コンサルタントのホリゲルがドイツ人向けに工夫した「635法」を,バッテル記念研究所のスタッフが更に改良を加えた物である.
「635法」は6人のスタッフが5分間の内に3つのアイデアを考えて,合計18枠のブランクがあるシートに記入して隣に回していくというところから命名された.ルールはブレインストーミングのルールを適用する.バッテル研究所が加えた工夫は,前の人のアイデアを継承して発展させていくというやり方である.前のアイデアを継承したという印に,枠の境目に小さな↓を書く.一連のアイデアがこれ以上発展のさせようが無く,また,そこに新たなアイデアを加える余地が無ければ,ここで切れているというしるしに,枠の境目に太い線を引いて,そこからは別のアイデアを書くことにする.

ブレインライティングの留意点
1.前の人のアイデアを良く読み,特に,最初のアイデアの趣旨を生かして,全員でそれを育てて行くつもりで考える.
2.絶対にブランクのまま隣に回したりしない.
発想法入門 星野匡 日経文庫日本経済新聞社 1989
ブレインライティングシート
課題

ABC







発想法入門 星野匡 日経文庫日本経済新聞社 1989
経営者ヒヤリングシート(様式2.1)
内容コメント
企業理念
経営方針
企業沿革


外部環境調査シート(様式2.2)
項目現状未来,推定
顧客
業界
競合
参入
法規制
社会世相
マクロ経済


内部資源分析シート(様式2.3)
項目内容水準
商品力
組織力
信用・歴史
営業力
経営層
系列力
財務力
固有技術
管理技術
研究開発
  
事業領域把握シート(様式2.4)
サプライチェーン全体と現在の位置

業界内におけるビジネスメソッド

プロダクトポートフォリオ
市場マトリックスと顧客プロフィール


戦略展開検討シート(様式2.5)
戦略テーマ柱となるべき理念・コンセプト

とるべき戦術前提条件成功の確率失敗の確率差引総合評価
1実現手段と成功までのシナリオ
失敗しかけたときの打開策

成功するための重要条件確率と,予測される利得確率と失敗したときの損失